放課後等デイサービス コンサルだより No.8 (ダウンロード👉 )
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H28.11.11
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田中さとる
11月4日の訪問を終えてのおたよりNo8です。
【保護者への対応について】
今回のテーマは、保護者への対応について。
なにかを学ぶ際、なにかを研修する際、なぜそれを学ぶ必要があるのか?そのことを大切にしないと、研修に今一つ身が入らないどころか、時間の無駄遣いにもなりかねません。
常に「なぜ?」を問い続けることは、それほど重要なことなのです。ここを考えなくなってしまった、もしくは考えることができない、考えようとしない支援員さんは、近い将来、間違いなくロボットに職を奪われてしまいます。決められた枠の中で、決められたことを遂行しようとした場合、ロボットの方が確実に力量が上です。逆立ちしても勝てっこありません。ですから、人は、プログラム化されていない部分で創造性を発揮して、「ロボットを使いこなす側に立たなければ自分の職を奪われてしまう」と危機感を持ってほしいと思う今日この頃です。
さて、この保護者対応について学ぶ必然性を2つの視点から考えました。
① 事業所理念より
事業所に来ている子どもたちの療育効果を最大限に引き出すには、当然のことながら、来所中のその子への関り、支援が大きな柱であることは言うまでもありません。
しかし、もともと人とのコミュニケーションに課題を抱えている子どもたちが多い中、利用中でのみいくらすばらしい療育を展開したとしても限界があります。
この療育効果を最大限に引き出すのためは、当然のことながら保護者との連携が不可欠です。事業所で取り組んでいることを保護者に理解していただき、よい面が見られれば家庭と(願わくば学校でも)が一緒になって本人の努力や工夫を賞賛すれば、本人のモチベーションも高まり、療育効果もぐんと上がることでしょう。また、事業所で取り組んでいる働きかけを、家庭でも踏襲してもらえるならば、これもまた療育の相乗効果を生み出します。
自分自身のあたまとからだとこころがうまく統合できていない子どもたちにとって、療育者や保護者が(教育者も含めて)そのお手伝いを連携しながら進めることが、大きな療育効果を約束するものと考えるのです。
このようなことから、保護者との連携は、子どもたちの療育活動と同等レベルで大切にされるべきことなのです!
② 事業運営より
事業所の運営は、ここを利用する子どもたちの利用人数によって支えられています。いくら質の高いサービス提供ができていたとしても、毎日がたった数人の利用児童だったとしたら、スタッフの人件費を賄うこともできなくなります。そう考えると、やはり利用人数の増加を画策していかなければなりません。
このとき、もっとも望ましい進むべき方向性は、いま利用登録されている児童たちが、利用頻度を高め、少ない登録児童のまま、平均利用率が高くなることなのです。子どもたちにとっては、普段接している仲間と安心して過ごすことができるし(しょっちゅうしょっちゅう新しい子が出入りする空間は、刺激が多すぎて、とても落ち着いて過ごすことができる場になりません・・・)、スタッフにとっても、さして情報がない新規の子を受け入れるための準備に大きな労力を割かれることなく、毎日の療育活動の質の向上に安心して力を注ぐことができるようになり、より意図的計画的にプログラム化していくことができます。
このように、児童にとっても、スタッフにとっても双方にメリットのある運営をしていくには、保護者との連携が必要不可欠なのです。
一人ひとりのお子さんが、事業所を利用することで、安心して、安定した毎日を過ごすことができ、しかも抱えている課題を徐々に軽減したり解決したりすることができるよう関わっていけば、そして、そのことを適切に保護者に伝えることができるならば、おのずと事業所での利用日数が増えていくことでしょう。
ぜひ、今いる子たち一人ひとりに大切に関わり、そのことによって得られたサービス提供の効果を保護者に積極的に伝え、理解・共感していただき、積極的に協力してただくことについて、今以上にしっかりエネルギーを注いでいただきたいと思います。
なぜ学ぶのかを十分に共通確認してただいたところで、具体的な研修の中身に入っていきました。
この日、考える場面は次の3つでした。
- 保護者に子どものよいところを伝える
- 保護者に子どものことで伝えにくい内容を伝える
- 保護者からの苦情対応をする
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1 よいところを伝えるとき
このテーマでは、それぞれのスタッフごとにある子の伝えたい内容を自分で思い浮かべてもらい、ペアを組んだスタッフへ伝え、互いに感想を述べあう演習を行いました。
ここで確認できたポイントは以下の通りでした。
- 伝える内容は、その子の「いい意味でのギャップ」がよい
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ということは、普段がどのような様子、状態なのか?あるいは、家庭ではどうなのか?を明確に把握しておく必要があります。
- 子どもに対して、スタッフとして関わった適切な支援を伝える
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ここで、留意する必要がある点として挙げられたのが、望ましくない言動があったけれども、スタッフの支援で復活できたことを伝える場合・・・よほどうまく伝えなければ、そもそも望ましくない言動が起きてしまったのは、スタッフに責任があるのでは?と思われる可能性があるということでした。
表情、声のトーン、身振り手振り・・・人とコミュニケーションをとる場合、言葉でのコミュニケーションの割合は、8%程度、あとは、すべてノンバーバルな部分でのやりとりが占めていると聞いたことがあります。
上記のポイントを意識して、望ましい保護者対応ができたかどうかの判断は???
究極の評価の視点は、
保護者がいかに気持ちよくなったか? だと思います。
親のこころをゆり動かすことができて初めて、「伝えた」となることをぜひ肝に銘じてほしいと思います。
2 よくないことを伝えるとき
ある子が、友だちと言い争いをして身体を押され、机に足首をぶつけました。そのときは外傷がなく、本人も対応を拒否したので、様子観察していたら、帰りの会時に痛みを訴えてきて、見ると赤化して大きく腫れてしまっていた。管理者は、出張中で連絡が取れない。その日のプレイリーダーが対応をしなくてはならない状況。
保護者へどう伝えるか?を一人のスタッフさんにロールプレイしてもらい、それを観察した上でみなさんで協議しました。
設定としては、かなり特異ではありますが、ありえない状況ではないと思います。たま~にあるこのような場面で、対応を大きく間違うと、これまで信頼してくださっていた保護者であっても、たった一度の不行き届きで、一気に信頼を失います。私も、30年以上の保護者対応の経験の中、何度も苦い思いをしたことを今でも思い出してしまいます。
ロールプレイを見て、スタッフ間で対応について協議しました。その中で共通確認された点は以下の2つです。
- 最もリスクが少ないと思われる対処を保護者に提案すること
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協議した結果、「事業所がこれから病院受診対応をします」を提案することが望ましいとの共通確認を得ました。この提案が、保護者からの信頼を損ねない最もリスクの少ない提案だと考えられます。
具体的な言葉としての提案は、
「これから、事業所で病院受診をさせていただきたいと考えていますが、よろしいですか?」
でしょうか・・・最終的に病院受診を選択するかどうかは、保護者にゆだねるとしても、その用意が整っていることを提案することが大切だとみなさんが考えました。
- 提案することについて、リスクを最小限にするための対処を徹底しておくこと
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提案したことを気持ちよく受け入れてもらうためには、この状態に至るまでの対応に不備がないことがとても重要です。友だちとのトラブルについて、双方が納得した状態で解決していないとか、本人が拒否したからと言って冷却対応などをしていなかったとか、打撲したところを時間経過とともに様子観察を怠っていたとか・・・そんな不備がもしあれば、病院受診の提案さえ受け入れてもらえず、保護者の憤慨を招くかもしれません。
したがって、起こり得るリスク(どんなに注意していても確率的にどうしても起きてしまうリスクは必ずあるのです…)を最小限に抑えるためには、常に、その場その場で適切な対処を積み重ねていなければ、気持ちよく保護者に提案を受け入れてもらえない事態を招いてしまいます。
これを、常に一人で対処することは限界があります。だからこそ、プレイリーダーを中心としたチームでの連携の重要性が欠かせないのです。これまでに増して、一つ一つの対処についてスタッフ間で連携しながら業務を遂行していただきたいと思います。
3 苦情対応をする
この場面での対処の難しさは、突然の電話、もしくは、手紙などなので、こちらが、こころの準備をすることができないという大きなリスクがあります。
ところで、今回の苦情場面の設定を私が少し間違えてしまいました。苦情ではなく、悩み相談のような形になったので、やや色合いが違ってしまいましたが、カウンセリングマインドをもってとても丁寧にロールプレイできていたと思いました。
共通確認できたポイントは、やはり2番目で取り扱ったものと重なっていました。
- 普段からの子どもへの関わりに一貫性をもっていること
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突然の母からの相談ではありましたが、その課題に対し、スタッフ側では、さまざまな取り組みを続けてきており、今後の対応についても方向性を的確に提案することができていました。どのスタッフが電話に出ても、共通確認して対応が一貫していれば、落ち着いて対処できると思います。そのことにより、保護者は信頼感をさらに増していくものなのです。
保護者対応については、これまで述べてきた通り、事業所の運営を支える大きな柱であることを十分に理解いただけたと思います。
みなさんは、事業所を利用する子どもたちの毎日の活動内容には、何日も前から、そして当日の朝からさまざまな準備をされていることと思います。
しかし、保護者の対応については、子どもたちの活動の準備と同等レベルの重要度があるにもかかわらず、あまりその準備に時間を使うことがないのではないでしょうか?
保護者対応のノウハウが、特定の職員に偏ってしまうことなく、送りや迎え、電話等で常にどのスタッフにも接する機会がある保護者対応について、日頃からその対応のノウハウを正しく積み上げ、いざというときにも落ち着いて対応できるよう工夫と努力を継続していただきたいと切に願います
福岡市東区で障がい福祉サービスに携わる人を育てる会社
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