R6.12.5~6の2日にわたり、相談支援に携わる者が学ぶ場として九州で最も大きな大会に参加してきました。
ご覧のように5部構成のどれも大変充実した内容でした。サンクスシェアでは5人の相談員が、それぞれの部の学びを分担してアウトプットします。
さて、私はというと、改めて相談支援に携わる者として自分自身を見つめ直す大変よい機会となりました。
何を見つめ直したかって? それは、次のようなことでした。
もちろん、仕事による対価を得るためとも言えるわけですが、それだけではありません。直接支援をしないが故になかなかカチッとした形に見えにくい業務内容であることに加え、人様の人生にかかわる難しさから精神的ストレスに押しつぶされそうになることもあります。そう考えたとき、先の疑問に明確にこたえを持っておく必要性があると思うのです。
大学を卒業してすぐに小学校の教員となった私は周りの人によると、人の話を聞く、吸収することに強みがあるようでした。おそらく児童生徒時に引っ込み思案気味なタイプだった私は、人の様子をじっくりみながらそして人の話をじっくり聞くことに意識のないトレーニングを積んだのだと思われます。
もちろん相談員は話を聞くだけでは決してこと足りるわけではないことは明白ですが、ただ聞くことが苦ではない、聞くことが好きというタイプがこの仕事に合っているのだろうと考えます。そして、人の話を聞くことへの強みをもとにしながら、私自身がぐいぐいと自分一人でやりたいことを進めていくタイプではないため、要所要所で重要な人に大きな影響を受けて自分自身が成長してきたことが相談員たる所以に大きな影響を与えていると思います。
このようなことから、相談支援で携わる対象者に対して自分の体験を役に立ててもらいたいと思うようになったのだと思います。もちろん私という一人の人間がすべての相談者の重要な人になれるはずもありません。ですから、相談者と対等な立場で関わる中で、相談者の話を十分に聞き取り、重要な人に出会う場を提供するお手伝いをしたいと思っているのです。
人は一人でできることもたくさんあります。しかし、他者といっしょにやることによって、やれることの質や量がそれをはるかに越えて多くなる可能性があります。このように考えると、一人の相談者が私の体験や考え方によって困っていることが少しでも軽減し、そして、少しでも充実した生活、人生となるようなお手伝いができることに大きな喜びがあり、このことが相談員として大事にしていることであり同時に相談員を続けている理由でもあるのです。
さて、このような自分自身の見つめ直しが少~しできた今回の大会でしたが、大会の一貫したテーマが、「地域との共生」でした。
このことについて、普段から不十分だなあと思ってはいたものの、改めてこの地域というテーマをより意識した相談支援を心掛けなければと思わされたひと時でもありました。
このことは同時に、相談支援は、相談者の困りごとを解決する(これだけでも大変なことですが・・・)だけでは十分とは言えないのだと言うことを改めて意識づけられました。
地域とのつながり、人とのつながりを積極的につくることによって、人は改めて生き生きできるのだと!
そう考えたとき、サンクスシェアはもっとに地域に出ていかなければならないと大きな方向性として決意を新たにしました。具体的には、まず相談員である私たちが地域に進んで出向いていくことから始め、地域の視点をサービス等利用計画にも位置付けるなど、目的と方向性をもって進んでいきたいと思います。(サンクスシェア 田中 聡)
【各部ごとの内容】
令和6年度九州地区障がい者相談支援事業合同研修会大分大会に参加をしてきました。その中で第一部行政説明(報酬改定後の状況と今後の障害福祉の動向)について記載していきます。
説明は厚生労働省の相談支援専門官から①障害保健福祉施策の概況②令和6年報酬改定③地域共生社会④住宅セーフティネット法改正⑤その他の動き⑥おわりに という6項目に分けて説明がなされました。
①については障がい者・障がい児ともに福祉サービスの利用者数の増加がみられていました。特に障がい児の分野の伸び率が高く直近5年のデータでも2倍弱の利用となっていました。また障がい者の分野でも1.3倍ほどの利用増となっていました。要因としては対象となる方が増えたことやサービス内容が充実してきたことにあると説明がなされていました。
②については今年度が医療と福祉、障がいと3つの分野が同時に報酬改定となる節目の年でした。障がい福祉においては令和4年に改正された障がい者総合支援法に記載されてある”希望する生活の実現のため”というキーワードを基礎にして今回の改定が行われたと知りました。その中で国としては計画相談への期待が大きく、福祉サービスによっては報酬の減額や条件の厳格化などを求められる中で、計画相談に関しては報酬アップに繋がる改定でした。改めて計画相談としての丁寧なアセスメント・モニタリング、他職種・地域との連携など繋ぐ役割の重要性を学ぶ機会となりました。
③④⑤⑥については障がい福祉サービスの枠を超え、高齢化や人口減少、災害などの大きな枠組みの中で成年後見人の在り方や空き家問題、障がい者の避難先の問題などについての現在や今後の動向について説明がありました。これらの内容において私自身、把握できていないことも多く学びに繋がると同時に、このような研修の場で説明があったということは計画相談に求められる役割は障がい福祉サービスに留まらないと強く感じました。
今回の研修では日頃の業務の振り返りと合わせて今後の相談支援の在り方について改めて考えさせられました。合わせて内容の理解が及んでいないことも多々あり新しい発見も多かったです。今回の研修で得た気づきや学びを大切にしながら日々の業務において利用者様に少しでも還元できるように今後も自己研鑽に励んでいきたいと考えています。
テーマ:これからの相談支援に求められるもの
1. 研修を通じての学び
今回の研修に参加し、相談支援専門員としての役割を再確認しました。相談支援において重要なのは、人と人とのつながりを活用しながら支援を行うことであり、そのために以下の力が求められると感じました。
特に、多職種との連携は、相談員一人で解決が難しい問題に対処する際に不可欠な要素であると実感しました。
2. 本人中心のケアマネジメントの重要性
支援の前提として、利用者自身が自身の生活や選択について主役であり続けることが大切だという「本人中心のケアマネジメント」の考え方を再確認しました。そのためには以下が重要です。
これらを基盤に、利用者の自立を促進し、共生社会の実現を支援することが求められます。
3. 相談員同士の支え合いの意義
相談員もまた人間であり、様々な感情を抱えながら業務に取り組んでいます。一人で解決できない問題に対して、同僚や他の相談員と意見を交わし支え合うことの大切さを改めて感じました。研修を通じて「サンクスシェア」がそのような場であることも再認識しました。
4. 今後の展望
今回の研修を通じて得た知識と気づきを活かし、これからも多職種と協力しながら利用者の支援に取り組んでいく決意を新たにしました。利用者の自立を支え、共生社会の実現に向けて貢献できるよう、引き続き努力していきます。
第3部 特別口演「笑って元気」
高鳥屋神社の宮司である矢野氏の口演であったが、軽快な話の中で笑いがあふれすっきりしたと同時に、大切なメッセージがたくさん込められ学びにもなった。印象に残ったメッセージと所感を記したい。
【自分の思っていることを伝えられている人はストレスが少ない】
楽しく、ストレスなく生活、業務をしていくために、うまく伝える話術が私たちには必要であると感じた。また同時に、思うように言葉が出てこなかったり、頭の中でまとめることが苦手でコミュニケーションに苦手さを感じる人がいる人たちのストレスは私たちが思う以上に大きいであろうと言うことを、常に意識しておきたい。
【会話は肯定から入る。肯定することで話の幅が広がり、相手の受け入れが良くなる】
頷きながら、そういう考え方もあるよね、と話を肯定し相手を否定しない。日々のコミュニケーションの中でも常に意識し身に付けたいことだが、私たち相談員に求められる大切な傾聴の基本だと感じた。まずは肯定することでこちらの伝えたいメッセージが伝わりやすくなる。非言語も含め、相手を受入れる姿勢を基本としたい。
【人間は改善できることとできないことがある】
2割は生まれ持ったもの(身長など遺伝的なもの)で改善は難しい。この部分をつつくのは虐めだ。しかし8割は努力などで改善することができる、とのこと。日々の業務の中では、目に見えない配慮すべきことも多くあり、ラインを引くのが難しいこともある。他者とのかかわりの中でしっかり意識しておき客観的に考えていかなければならない部分だと感じた。また、障がいの有無にかかわらず私たちはそれぞれ特性をもっている。8割の頑張れることに目を向けていきたい。
【おらんとこまる、と言われることで人間は頑張れる】
一人ひとりが役割を持つことが大事、と話されていた。そこにいる全員が役割を持ち、お互いを認め合いながら過ごせる共生社会を作っていくことを目指し、自分にできることを模索したい。
【人は人から元気をもらう】
日々の生活の中で、人は人から元気をもらうのだとのこと。家で元気をためて仕事を頑張る、職場でも元気をもらえるならそれもいいとのこと。自分は元気をもらっていると思うことが多々あるが、他者を元気にすることは出来ているのだろうか?他者を元気にする行動、言葉って何だろう?と考えると難しい。私が相手に元気をあげられるとしたら…?相手が何を求めているのか感じとるためにも、自分に余裕をもって人とまっすぐに向き合い、元気や笑顔をシェアできる人を目指したい。
第4部 シンポジウム
「これからの地域で共にくらすとは・・・未来にあるべき地域共生社会」
大分の地域に根付いた活動をされている、4名の方の討論会を聞いて、新たな気づきや共感したこと、今後の支援において大切にしていきたいと思ったことを共有します。
共生社会において必要なことの一つとして、孤独をなくすために「誰かから必要とされたり頼られたりすること」「誰かの役に立つこと」が、人にとって大きな原動力になるという点が挙げられました。逆に、「人に弱い部分を見せたり、頼ったりすることは決して恥ずかしいことではなく、むしろ頼られたり任せられることで自分の価値を感じることができる」という考え方に深く共感しました。そして強みだけでなく弱さも含めた多様性を認め合うことが、安心できる居場所づくりに繋がるという点も非常に重要だと感じました。
一方で、耳が痛くなるような言葉もいただきました。「連携が支援者側のニーズになっていないか?」という問いに、支援者側の考えがその人にとっての最善だと決めつけて動いていないか、改めて考えさせられました。
また、議題の中に私にとっての大きな課題となっている「書類の効率化」です。記録は非常に重要ですが、どこに時間を割くべきかを見極め、人と向き合う時間や、直接関わる時間を確保することを忘れずに向き合っていきたいと思います。
最後に、サンクスシェア内で最も刺激を受けている相談員Fさんについてお話しします。講談が終わるとすぐに、「社長、私の構想を聞いてください!」と目を輝かせ、地域に根付いたサンクスシェアの形(相談員Fさんの理想)を熱心に語っていました。私自身も改めて「支援とは何か」を考えさせられました。支援の形は多様であり、一人ひとりの情熱と想いが集まることで、より良い未来を作ることができると強く感じています。
相談支援専門員が地域創造のために必要なこととは?
九州各県の代表者から各県で取り組んでいる地域創造の為に必要なこととして大切に思っている事について発表がありました。
どの県も人材育成についての話があり、相談支援専門委員が研修を通して交わることで個人のスキルを上げることができ、その中で自らネットワークを作っていく事の大切であることやたくさんの仲間がいる事で出来る事が増え、出来る方法を考える事ができます。出来ない理由を考えるのは簡単ですが、出来る方法を考えていくには一人では難しく仲間の存在が大切で、相談支援専門員自身が疲れない環境が必要であると話していた代表者もいました。
また、異業種の社会資源の開発や災害時のサポートしている人も被災者である為サポートする人同士の支え合いが大切と気付き災害時支援に力を入れているという話もありました。
人と人をつなぐこと「また会いたい」と思える関係を作り、「また会いたい」と思われるような人になることで人材育成にも、支援の質を高めることにもつながります。
今回の研修を通して、たくさんの気付きや初心に帰るべきと思う点がありました。利用者や各関係機関と信頼関係を築き、また会いたいと思える関係者を増やし、また会いたいと思ってもらえる相談支援専門員でありたいと思いました。