相談支援専門員は、何をもって評価されるのでしょうか?
2000(平成12)年に相談支援事業が制度化される以前は、障がいがある人は相談支援専門員がいない中で福祉サービスを利用していたわけで、相談支援専門員がついたことによってあまり効果がないとなれば、国の税金をどぶに捨ててしまうようなものです・・・
そんな悲しいことにはならないようにしなければなりませんが、厚生労働省においても、相談支援の質について綿密な検討もすすめられているようです。
「相談支援の質の向上に向けた検討会」(第6回~第9回) における議論の取りまとめ
この検討会の資料にもあるように、私たち相談支援事業所の相談支援専門員は、さまざまな質を求められているのですが、いったいそれが身についているのかどうかをどうやって確かめるとよいのでしょうか?
私は、2つの面に注目する必要があると思います。
一つは、相談支援専門員による相談支援としての直接的なかかわりが及ぼす影響です。
サンクスシェアでは、ISO(業務標準化)の取り組みの一環として、顧客満足アンケートを作成しました。顧客の満足をどのような面・項目で測るのかはとても難しい問題だと思いますが、まずは、サンクスシェアの8名の相談員が、どのような項目・質問であれば、顧客満足度を高く評価してもらえそうか自分なりに考えて作成した質問項目をベースにしました。
その上で、福岡県が提案している相談支援の人材育成ビジョンの資料と照らし合わせ、微修正をしたものをアンケートとしました。 顧客満足アンケート(サンクスシェア)
ご覧の通り、計画相談の基本的な段階について適切に行うことができているかに加え、人材育成の「価値」「知識」「技術」のそれぞれについて、相談者ご本人から評価してもらう内容で構成し、顧客満足度を4段階で判断してもらうのです。
この顧客アンケートにおいて、どの程度の満足度を得ることをよしとするのか?どの程度の満足度を目指すのかについては、今後アンケートを実施し、私たちサンクスシェアとして到達する目標値を定めていかなければなりません。
さて、顧客の満足度が十分であるかについての評価はとても重要な一面ではありますが、しかし、それだけでは足りないと思う気持ちがふと湧いてきているのです。
足りないと思うもう一つの面は、相談者ご本人のQOLの状態変化への注目です。
極端な例を考えると、仮に相談支援専門員としてすごく信頼を得て、満足度として高い評価を受けたとしても、ご本人の生活は一向に安定せず、様々な能力もむしろ低下しているなんて状況であるならば、それは相談支援として質が高いとは言えないでしょう。一方、相談支援専門員としての信頼度が大変低く、相談者からあまりよく思われていない相談員であっても、本人のエンパワメントを的確に引き出し、能力を高め、結果的に本人の生活能力が上がっているのであれば、相談支援の質が高いといえるのはないかと思うわけです。
このようなことを考え、WHOが発行しているQOLを測る検査用紙を取り寄せ、この評価にも着手する必要性にかられているのです。
QOL検査用紙には26の質問があり、それぞれの項目についてどう思っているのかを自己評価していく検査です。
このQOLが高いことが、障がいがある本人の生活の質の高さを的確に表しているかどうかを今後検証していかなければならない課題が待っています。
今後、相談支援の質をこの2つの面で追いかけていこうとするのが私たちの当面の目標です。相談支援を生業としているからには、私たち自身が、私たちの相談支援の質を正しく把握し、その評価に応じた振り返りを行い、より質の高い相談について飽くなき追究をしていくことは、私たち一人一人の使命だと思っています。
私たちが業務としてかかわっている日々の相談支援において、効果が生まれているのかそれともあまり効果が生まれていないのかもよくわからず、ただ、「一生懸命やってます!」的ななんとなくの毎日をなくすことを目指して・・・