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医療的ケア児等コーディネーター養成研修を受講して

 
     医療的ケア児等コーディネーター養成研修を振り返って・・・
                            髙倉 満彦
 
   6月29日、30日、7月26日、27日の四日間「医療的ケア児等コーディネーター養成研修」を受講しました。貴重な四日間の研修を振り返ろうと思います。
 
 感想の前に・・・
 みなさんは、医療的ケア児と聞いてどのようなお子さんの姿をイメージされますか?
◆ 医療的ケア児とは?
  医療的ケア児とは、生活の中で医療的ケアを行いながら暮らす子どもです。
  医療的ケアとは、人工呼吸器、気管切開、吸引、経鼻エアウェイ、経管栄養(経 
  鼻、胃瘻、腸瘻)、酸素療法(R障害・心疾患)、導尿、人工肛門、IVH、透析
  血糖測定、インシュリン注射、筋緊張亢進へのケア、難治性てんかんへの対応など
 
◆ 医療的ケア児等とは?
  医療的ケア児等とは、医療的ケア児・重症心身障害児・その他になります。
 
◆ 医療的ケア児等コーディネーターって何をするの?
  医療的ケア児等コーディネーターは、医療と福祉・教育をコーディネートします。
 ・入院中からの本人・家族の意思決定の支援を医療関係者と協働で行う。
 ・重症児等への相談支援業務(基本相談・計画相談・ソーシャルワーク)
 ・本人の成長と発達を支援し、その子どもなりの自立ができるよう支援する。
 ・養育者が障害を持つ子どもの親となれるよう支援する。
 ・本人、家族の人生の伴走者
 
 などなど、二日間の研修で多くの資料をいただきました。
(このページだけでは掲載が難しかったのでPDF)の資料に少しまとめてみました。ぜひ、ご覧ください。
 
【感 想】
 まずは、研修を受講する前は、医療的ケアを必要をするお子さんやご家族にどのような支援ができるのだろうか?もっと言うと在宅で過ごしているお子さんやご家族がどのような生活を送られているのか自体をあまり知りませんでした。そのことを知らない私が支援に携わる立場になることに不安を感じていました。研修を通して、保護者の方の話や資料からお子さんやご家族の思いや願いを一部分ではあると思いますが知ることができたことが大きな一歩でした。
 次に、その思いや願い、意思決定について考えさせられました。講義の中で、これまでは「利用者の方の思いや願いがはっきりしない」という意思決定能力が問題されてきましたが、問われるべきは、私たちの意思決定支援能力であるということがありました。私もこれからの自分の人生やあり方についてはっきりと決め、他者に伝えることは難しいです。そのとても大切こと、難しいことを短時間に、そして、明確に決めてもらうことは容易なことではありません。だからこそ、私たち相談支援専門員が寄り添い、利用者の方と一緒にライフストーリー(物語)を考え、その物語に欠かせない支援を考え、協力することが大切だと改めて考えさせられました。医療的ケアが必要な方には、福祉だけではなく、教育、医療関係者と十分に情報共有、共通理解を図っていくことの重みも感じました。
 最後に、サービス導入の基本的考え方についてです。私たちは、アセスメントを行い、その方が希望される生活をもとに、福祉サービスについて提案、調整をします。しかし、ややもすると、単にサービスを調整する人、必要な書類を作成する人になってしまっていないか・・・と考えました。どうして、そのサービスが必要なのか?サービスを利用することによって、どのような生活を送ることができるのか?サービスを利用して生活はどのように変わっているのか?などを明確にすることが重要です。講義の中で、「優先的な創出しなければならない社会資源の考え方」が示されました。まずは、第一に、生理的欲求・安全の欲求があり、所属・愛の欲求→承認の欲求→自己実現の優先順位でした。では、生理的欲求や安全の欲求が満たされなければ、次の欲求に進まないのか?ということです。「そうではない!」とみなさんも考えるのではないでしょうか。優先順位はそうであったとしても、私たちは、他者に認められ、自分の夢や目標を達成したいと常に願っていると思います。サービスや支援を考えるときに、その人にとって、「豊かな生活」「自分らしく、キラキラ輝く毎日」をイメージすることは大切です。そして、生理的欲求や安全の欲求が満たさせる中で、他者に承認される喜びや夢や目標に向かって取り組む充実感を味わうことができるような社会資源を考え、利用者の方と一緒にライフストーリ紡ぐことができる相談員でありたいと思いました。
 
 7月の養成研修では、医療的ケア児等コーディネータとしての必要な資質や役割、また、医療と福祉の連携等、理論を学ばせていただきました。
 7月10日(水)は東部療育センターに施設見学に行き、実際に医療的ケアを受けながら、保護者や指導員の方と療育活動に取り組まれたり、食事をとられたりする様子を見せていただきました。食事は、一人ひとりに応じた分量があり、刻み方も一人ひとり違っていて、本当にきめ細やかな支援が行われていることに感動さえおぼえました。そして、施設も充実しており、子どもたちが笑顔で活動している様子が印象的でした。
 
 さて、7月26日、27日の研修では、計画案作成、事例検討が行われました。40名の参加者だったのですが、グループに分かれての演習でした。私は、7名のグループで、グループ名は「冷やし焼き芋」でした。みなさんは、「冷やし焼き芋」を知っていますか?・・・本題に戻ります
 
 演習では、太郎さん(仮名)の第一次アセスメント票をもとに、10か月のお子さんの計画案を作成しました。アセスメント票をもとに、太郎さんや保護者の方の思いや願いを書くことからスタートしました。付箋紙に思いや願いを書き、グループ内で共有していくのですが、同じような文章でも、書かれた方の思いを聞くと、若干違うこともあり、気持ちを言語で伝えることの難しさを改めて感じました。そして、7名がそれぞれ違う視点から考え、交流することで、新たな気付きも多くありました。
 
 次に、思いや願いから、計画案を作成していきました。ご本人の医療的ケアの状態や体調を考えながら、どのような支援と結び、つなげることによって、これからのこのご家族の物語を紡ぐことができるのか?をグループで協議しました。作成する中で、病院のSWさんや訪問看護をされている看護師さんと話をする中で、専門的な立場から多くの意見が出され、実際に携わっている方の生の声を聴くことができ、学ぶことが多くありました。
 
 その後、作成した利用計画をもとにした担当者会議の演習も行いました。アドリブでいろいろな意見が出てきたのですが、その一つ一つに思いが詰まったもので担当者会議の重要性を感じました。
 
 2日目は、太郎さんが15歳に成長した時の、アセスメント票をもとに、グループで計画案を作成しました。成長した太郎さんの様子に、グループ内では、「よかったね」「楽しそうに過ごしているね」など本当に担当祖をさせていただいている感覚を覚え、太郎さんが本当に近い存在に感じられ、計画案作成にも熱がこもりました。
 
 最後に、「命がけで生きながら、生きることの意味や尊さを教えてくれ、たくさんの人と出会える機会を作ってくれている医療的ケア児者や重症児者とその家族に感謝しつつ、この研修を終了します。」と言葉をいただきました。
 
 わたしたちは、いつも感謝の気持ちを大切に、業務に取り組むことが当たり前、基本だと思います。しかし、一番大切なことだと思います。
 
 いつまでもこのような気持ちを忘れずに、毎日の業務に邁進していきたいと思います。
 
福岡市東区で障がい福祉サービスに携わる人を育てる会社
 合同会社サンクスシェア 2016年4月4日 創立