KYOUKOU(強度行動障がい勉強会)第13回 報告
1 日 時 平成29年8月1日(火) 19:00~20:30
& 第二部 ~22:00(あすみん近くウエスト居酒屋)
2 場 所 あすみん(福岡市NPO・ボランティアセンター 福岡市中央区今泉1−19−22 )
3 参加者 8名
4 内 容
佐賀県からつ学園入所者事例検討「M氏の食事支援について」
からつ学園ホームページ http://karatsu-gakuen.org/
5 事例提供及びグループワークの実際
① プレゼン資料による事例の紹介(からつ学園 吉田さん 松藤さん)
47歳 男性 3年前入所(他の入所施設から)
【困っていること】
・こぼしながら食べる(汁物を頭からかぶる)
・ごはんを首にこすりつける
・食事拒否がある
② グループ協議
事例の説明の後、詳細について質問を経た後、M氏に対する食事支援の在り方についてグループで協議し交流し合いました。
協議で出された主な意見は次の通りでした。
【食事提供方法の工夫】
・こぼせないようにストロー系のコップを使用
・汁物にとろみをつける
・残すものを入れる入れ物を準備する
・食べる場所を変える
・食べる時間帯を変える
・遊びができないように食器類を変える
【障がい特性への工夫】
・量を減らして提供してみる
・食事の終わりが明確にわかるようかかわり方を工夫する
【その他】
・支援者間の支援の統一
どちらのグループにおいても、困っている行動について、「環境面の工夫」と「障がい特性への配慮」が必要ではないかと、大きな二つの柱から意見交換ができました。これも、この強度行動障がい者への支援について学んできた視点がしっかり活かされていることを改めて実感したのでした。
このとき、もうひとつその他の柱として、やはり複数いる支援者間での支援の統一が大きな課題として挙げられていました。
③ 現在までの取り組み
グループ協議の後、実際にこれまで取り組んできた支援の経過について、吉田さん・まつ さんから続けて説明を受けました。
協議で出されたさまざまな方策の多くは、すでにからつ学園で試されていたことに驚きました。
このM氏の食事場面での行動問題を改善するため、7つのチャレンジされた支援について説明がありました。
常に最善の方策がないか、何度もチャレンジされながら、少しでもよい支援にならないかと取り組み続けた吉田さん・さんをはじめとしたからつ学園の支援員のみなさまに敬意を表したいと思いました。
しかし、からつ学園では、多くのチャレンジに挑んでこられててなお、解決できない問題やあらたな問題への対応についてさらにかかわり続けていくのだとお話しされていました。
④ 学びの感想
今回の事例提供では、これまでKYOUKOUの勉強会で学んできたことをあれこれ考えながら施設で実践してこられた経過を伝えていただいたとのこと。その地道なご努力に敬意を表し、参加者として学んだことをお礼としてお返ししました。
・自分が経験のない入所施設での積極的な実践・チャレンジをすごいと思いました。
・「常識」ってなんなのかなあと考えさせられました。積極的にチャレンジをし、その成果をみるためには記録が重要になります。これからは、記録やまとめをしっかりしようと思いました。
・相談員として入所施設の大切さを十分認識しています。ずっとずっと同じ支援員というわけではなく、変わっていく中での支援の難しさを感じます。現場支援員さんのがんばりが見えるよう関わっていきたいと思いました。
・入所施設職員として、同じ悩みを抱えています。また、支援者間の意思統一の難しさも痛感しています。特に、支援を共通化する前に、試してみてうまくいくとなればルール化できるがそれまでチャレンジし続けた努力はすごいです。
・食事の提供の仕方を変えると、支援者としての対応がたいへんになる様子を前職で見てきました。何段階にも分けて支援に取り組んでこられたことがすごいと思いました。
・今回、このM氏の担当となり、これまでだれもやらなかった本人の外食引率支援にも取り組んでいるとの話を聞き、さらに頭が下がる思いでした。
今回、参加者から出された具体的なアイディアや視点、考え方や方向性については、ぜひ支援として新たに取り入れを検討してみたいと強いおことばをいただいてこの日の勉強会を終えました。
※ 次回の勉強会の日時については追ってご連絡いたします。(報告:田中さとる)