KYOUKOU(強度行動障がい勉強会)第9回 報告
1 日 時 平成29年2月23日(木) 19:00~20:00
& 第二部 ~22:00(か~むから歩いて数分の角打ち居酒屋さん)
2 場 所 障がい者行動支援センターか~む(福岡市中央区唐人町2-5-1)
3 参加者 16名(含 初参加5名)
4 内 容
強度行動障がい者入居グループホーム「か~む」現地見学会
5 見学及び質疑応答の実際
① かーむ食堂にて「か~む」の概要説明
福岡市のモデル事業であることを紹介
(http://www.city.fukuoka.lg.jp/data/open/cnt/3/50203/1/06_shiryo1-3.pdf)
② 建物内見学
人数が多かったため、2つのグループに分かれ、か~む森口所長と渕上支援員さんが館内を解説しながらご案内しました。人とのかかわりが極度に苦手な1名を除き、他2名は実際に顔も見ていただきました。
③ 質疑応答
Q:壁に張り巡らされているセーフィティマットは、すべての位置についているわけではないが、全部覆わなくてもよいのか?
A:利用者の実態に応じて、環境調整したりレイアウトを変えたりしている。自傷や破壊について、なぜそうしているのか?その意味を一つ一つ考えながら、その事象に合わせた環境をレイアウトしている。また、自傷している意味を明確にとらえ、誤学習している状況を修正することを考えて支援を行っている
Q:その人がどういう人なのかについては、日々のかかわりと日々の記録で見立てているのか?
A:「自閉症」と診断されている人は、ある程度特性が方向づけられるので見立てやすいが、その枠組みから外れた人の見立ては難しい。か~むとしては、行動分析の手法を使って本人の理解や見立て、支援の方向性を検討することを原則としており、動画録画を多用している。日々の逐語様記録と併せ、ある行動に焦点を当てた行動分析記録表や動画などを分析して支援に役立てている。例えば、自傷等で『職員を呼びつけている』行動だと分析できた場合には、あえて本人の要求に応じないなどの対応をとり、本人が目的を達するために、適切な別の方法を教えていくなどの方法をとることがある。
Q:新しい職員をどうのように育てているのか?研修は?
A:24時間つねに職員が支援をしている状況の中、全員が集まって共通確認する研修は、なかなかできていない現状がある。そこで、とにかく現場で直接入居者とかかわってもらい、経験を積み重ねてもらいながら、毎日の引継ぎ業務の中で、支援の共通確認を重視するよう心がけている。時折、日中時間が開いた際など、所長が、その日の勤務職員と支援について協議する場を設定するなど工夫している。
Q:記録の左側に、支援の流れの原則として支援手順書があるが、この手順書の更新の頻度は?
A:受け入れ初期は、頻繁に更新して、職員にも引継ぎや、引継ぎノートなどを活用して支援の統一を図るが、落ち着いた状態になっていくにつれて頻度は低くなっていく。ただ、実際に現場で関わる中で更新作業が生まれるため、作成が遅れ、直接支援に間に合わないこともままある。支援手順書の浸透は難しい問題ではあるが、ほぼ平日の日勤業務になっている所長と主任とで変更と統一を図りながら、進めている。課題は、いわゆる『議論・協議』ができないこと。時に、統一したい支援のモデルについて、実際に入居者に支援している様子をVTRで録画し、それを新たに引き継ぐ支援員が観て同じように取り組んでもらう方法も活用している。
Q:(参加者の現場での事例で)食堂に行く前に必ずやっていく儀式的行動がみられるが、どのように対応するとよいか?
A:まずは、生活にどれくらい支障があるかを検討してみること。支援者側が不適切と思っているだけで、本人の行動はそれほど生活に支障が出ているのでなければ、あまり神経質にならなくてもよいのでは?とも考えられる。いずれにしても、その行動が、本人にとってなにを意味するのか?観察、記録、分析がもう少し必要だろう。
→支援員として、行動の『問題』と感じる基準を見直してみることが必要(ほんとうに問題なのか?なにが問題なのか?どのように問題なのか?などなど)
極端な例になるかもしれないが、こちらが(支援者側が、ある特定の支援員が)行動問題をつくっている可能性があることは否定できない。
Q:詳細に記述された記録簿があるが、記録はいつ、どうやって書いているのか?
A:原則として、行動問題の前後は必ず記録することを徹底している。「職員に噛みついた」「テーブルをひっくり返した」など、事実のみの記録では全く不十分で、その行動が発生した前後の状況(ひと・もの・ことの環境要因)を詳細に記録するとともに、なぜそれが発生したのか?どのような見立てなのか?についてを意識して書くよう共通確認している。
見学、質疑応答を含めてやく1時間半弱の時間でしたが、時間があればいつまでも質疑が尽きない雰囲気でした。
質疑に一つ一つ応答する所長の返答を聞きながら、普段勤務する一職員として、改めて考えさせられたり、再度認識を強くしたりなど、さまざまな気づきが生まれました。
強度行動障がいに特化したグループホームは、他に例が少ないと思われます。支援の難しさ、そして、さらには、支援の統一の難しさが常に付きまといますが、多くの家庭や現場で、困っている強度行動障がい児者本人や家族、支援者のために、できる限り有用な情報の発信と具体的なノウハウを提供することを目指し、強度行動障がいがある人の理解が地域で進み、より生活しやすい環境が整うためのお手伝いを続けていきたいと強く意識しました。
食事会では、数分歩いて場所を移動し、いわゆる「赤ちょうちん」の居酒屋さんで、わいわい談義しました!この日は、見学に参加されたすべての方が食事会に参加してくださいました!初の快挙です!あまりの嬉しさに写真撮るのを完全に忘れていました(^-^;